粒子の大きさが光の波長よりも小さい場合の光の散乱のことを「レイリー散乱」と呼び空が青く見える理由の説明には必ずレイリー氏の名前が出てくる。
散乱係数はその波長の4乗に反比例するとのことで、次式が紹介されて面喰う。散乱係数 Ks を n粒子数、d 粒子径、m 反射係数、λ波長で表わして示す。
このことは、逆に、短波長の光は散乱し易いことを意味しており、短波長の紫外線で分解し易いものは、屋内においても、経時的に変化するのではないかと思われる。
経験的なことだろうが、よく保存するときは「冷暗所に保管のこと」などの注意書きを見るが、これは低温では反応速度が低いことや暗い所では散乱光に曝されないので光による分解がないことを考慮した注意書きと考えられる。
散乱光に関心を持ったのは、「BHT黄変」を起した事故品を、明日、検討しようと卓上に置いておくと、翌日、その黄味が減少していることがあって、散乱光としての短波長の紫外線により、分解するのではないかと云う疑問を感じているからである。
この黄変物質はメタノールに易溶性で、そのメタノールには204〜214nmに極大吸収があることが気になるのである。
これらのことを積極的に究明する知恵も設備も時間も気力もないのでどうしようもないが、「幽霊のような黄変」には仲々気を惹かれる。
目に見えない部分には関心を示し難いが、分光光学的な吸収が短波長にあることが判った時には、その物質の保管には暗所が必要で、散乱光対策として、カバーをかけるなどの配慮など必要なように思われる。
繊維製品の場合は、長期保存には、「裏返し」が有効である。
光が散乱するからと云っても布帛の裏側にも回り込むようなことはないだろうと思う。
蛍光増白加工をした布帛は、確かに、反射光よりも散乱光だと感じる場合があり、どこから見ても明るく感じるのは、その励起光が散乱光であるためだと考えられる。
(T. T) |